「その先にいるユーザの声を聞きに行く」〜新人エンジニアが一ヶ月の社内留学で学んだこと〜


はじめに

こんにちは!2015年卒入社 WI (わくわくインターネット) 事業部の佐藤有花です。入社して3ヶ月間の研修を終えた今、私はTSA (Technical Service Advance) チームに一ヶ月の「社内留学」をしています。他にも、QE (Quality Engineering) チームの2名がチームもやし (Q-LINK開発チーム) に留学していて(通称もやし留学)、ガイアックス社内では密かに社内留学というチャレンジが広まりつつあります。

今回は、私が社内留学で取り組んだ業務を通して学んだこと、私が思う社内留学の面白さについてお伝えしたいと思います。

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社内留学のきっかけ

まず、私が社内留学をするに至った経緯をご紹介します。ガイアックスの新卒は総合職とエンジニア職に分かれていて、エンジニア職は6月末までの開発研修が終わった後、各々の事業部に本配属となります。私もWI事業部への配属が決まっていて、研修の間も毎日 (!) WI事業部の先輩社員にレビューをもらっていました。

研修の最終日である6月30日、「いよいよ明日から配属だ」と思っていた私に、RND (Research and Development) 事業部長の肥後さんからこんな話を持ちかけられました。

「配属前にあと一ヶ月間、苦手を克服するためのトレーニングをしないか」

「配属後の仕事はいわば本番。その前に、ここで苦手を克服してから実務に入る方が、今後の佐藤さんの成長角度が高くなると思う」

既にWI事業部での仕事内容も聞かされていた私にとって、肥後さんからの提案は想定外で、そのときは驚きましたし、ショックでもありました。しかし、肥後さんもWI事業部の先輩方も「私の今後」を真剣に考え悩んだ上で、私がより成長できそうな道を提案してくれた、ということが強く伝わってきました。きっと先輩方にとっても、この提案は挑戦だったんだと思います。

新人の今後を真剣に考えてくれる上司がいる。これはガイアックスのすごいところの一つだと思います。そんな先輩方に対して、私も「やってやろう」という気持ちに変わりました。そうして翌日の7月1日、肥後さんに「やります!」と宣言し、一ヶ月の社内留学が始まりました。

 

社内留学前の私

社内留学での具体的な内容に触れる前に、社内留学前に私が感じていた「苦手意識」について触れておきたいと思います。

  • 自信がなく、自分の意見をうまく伝えられない
  • 相手の話の要点が掴めない
  • 自分自身の改善すべき問題に、うまく対処できない
  • 自分自身の改善すべき問題に、目が向きすぎている
  • 人にどう思われるかを気にしすぎてしまう
  • 何のためにしているのかを見失ってしまう

これらは新人研修の途中で、チーム開発をしていて強く実感したもの、あるいは同期や先輩社員に指摘してもらったものですが、なかなか自分一人では乗り越えられずにいました。私にとって「研修後、これらの苦手意識をどう克服するのか」は大きな課題であり、今回の社内留学も「この課題に集中して取り組める期間、集中してフィードバックをもらえる期間」と捉え、意識していました。

 

いざ社内留学!TSAでの3つのミッション

さて、私はRND事業部の中のTSAチームに社内留学 (通称TSA留学) することになりました。TSAは「社内のなんでも屋」「すべての分からないを解決する」チームです。一般的なイメージとしては情報システム部門に近いのですが、枠を定めず社内のどんな依頼・相談・問題にも対応する、超カッコいいチームです。

こちらがTSAのメンバーです。               

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TSAでは、大きく3つのミッションに取り組みました。それぞれ簡単に取り組んだことをご紹介したいと思います。

スマートロックロボット「Akerun」の社内導入

1つ目のミッションは、ガイアックスが出資している株式会社フォトシンスの開発したスマートロックロボット「Akerun」を社内に導入する!というものです。本社6階会議室への設置から利用開始までを、私がメインで担当しました。

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こちらはAkerun設置のときの様子です。(雷電を放っている方は本間先輩です)

Akerunの仕様や料金体系について調べることから始まり、フォトシンス 河瀬社長とのやりとりや、利用開始にあたっての社内告知や運用方法の検討など、広く任せていただきました。この期間はAkerunについてかなり調べたので、「社内では一番Akerunに詳しい!」と言えるくらいになりました。

苦労したのは、社外の人との関わり方。電話やメールでのやりとりで、こちらの状況を上手く伝えられず苦戦しました。また、利用可能な端末やアカウント数に制限がある中で※、社内の人にAkerunをどう利用してもらうか、運用管理をどのように行うかにも頭を悩ませました。このあたりはTSAの岡本さんにフォローいただきながら、「Akerunの利用権限を申請制でお渡しする、あるいはちょっと試してみたい方向けに端末を貸し出す」という体制を一ヶ月で作ることができました。
※ こちらは7月24日リリースのAkerun Remoteで解消されているそうです。興味のある方はぜひ株式会社フォトシンスにお問い合わせを!

 

ポータル社内サイト「TSA What’s New?」の作成

2つ目のミッションは、TSAからのリアルタイムな情報をお届けするポータル社内サイト「TSA What’s New?」の作成です。これはTSAの業務を見える化する施策の一つであり、サイトの立ち上げから社内リリース、運用の引き継ぎまでを担当しました。

作成したTSA What’s New?はこちらです。

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TSA What’s New?の立ち上げでは、

  • 社内の状況をリアルに知れる場がほしい
  • 構築や運用時の簡単さを考えて、Googleサイトで作成してほしい
  • 一覧性の高いUIにしてほしい

といった要望と掲載したい情報をもらいましたが、ざっくりしたものだったので、作成する過程では自分から提案しながら進めていきました。まずは掲載する情報の意図を明確にし、必要に応じて取捨選択して、情報を整理する作業から始めました。そもそもどんなニーズがあるのか分からないので、ここはTSAの神さんと相談しながら行いました。

他には、社内PCの在庫状況を掲載する際に、Google Apps Scriptを使ってスプレッドシートからデータを自動反映できるようにしました。これで、在庫状況を更新するときはスプレッドシートの編集だけで済みます。

また、サイトの中にWhat’s TSA?というページを作成しました。「TSAチームが何なのかよく分からない」「何を依頼できるのか分からない」という新人としての視点があったからこそ、こうした提案もできたのだと思います。社内リリース後は思った以上に良い反響があり、とても嬉しかったです。「見やすい」「知りたい情報が分かって良い」といった意見を多方からいただけました。

 

マニュアル作成ツール「iTutor」の布教活動

3つ目のミッションは、TSAがライセンスを管理しているマニュアル作成ツール「iTutor」の布教活動です。これは株式会社ブルーポートの製品で、アプリやブラウザを操作するだけで連続したキャプチャを取ることができ、マニュアルやデモ動画を最短1分で作れるソフトウェアです。PowerPointと似た感覚で操作でき、動画 / Word / Excel / HTMLなどの形式で出力できます。

こちらは実際に操作すると出てくるキャプチャ編集画面。

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YoutubeにはiTutorの操作デモもあります。https://youtu.be/AP9o20vt0OQ

 

使い方によっては業務を大幅に効率化できる、非常に便利なツールなのですが、社内では一部の人にしか使われていません。せっかくライセンスを購入しているのだから、もっと積極的に活用してもらいたい。そこで、iTutor社内活用推進委員会がこっそりと発足し、私がその担当になりました。とは言え、そもそもiTutorがどう使われているのか、どんな場面で便利なのかも分からない状態だったので、まずはヒアリングから行うことにしました。

ヒアリングは、iTutorをよく使ってくれている人、業務で活用してくれそうな人、社内で影響力のありそうな人をピックアップし、「どんな業務で使えそうか、あるいは使えなさそうなのか」を集中して聞き出す方針としました。また、iTutorをあまり知らない人には、目の前でiTutorを操作して数分でマニュアルを作るところを見てもらい、ヒアリング自体が布教活動となるように意識しました。

結果として、一週間程度で社員6名にヒアリングをお願いし、「社内でiTutorが活用できそうな場面」の情報を集めることができました。初めはピンと来ない反応の人も、操作を見て「これはすごい!」「明日からでも使いたい」と言ってくれるなど、非常に好感触でした。

また、導入効果として「既存業務を効率化する」イメージが強かったのですが、社内では「現状ではコストが高すぎて手を付けていなかったことを短時間でできそう」という点に魅力を感じる人が多いことも分かりました。これはヒアリングしなければ分からなかったことだと思います。

残念ながら「布教できた」と言える段階までは到達していませんが、こうしたヒアリング結果は、次の施策を打つための良い材料になるはずです。特に「iTutorを活用できる場面は社内にたくさんありそうだ」という見込みを立てられたのは、一つの成果だと思っています。
※自分の業務で活用できそうか気になる社員の方は、ぜひTSAまでお気軽にお問い合わせください!

 

TSA留学で学んだこと

一ヶ月の間、これら3つのミッションを任せてもらい、その一日一日に学びがありました。しかしその中でも、特に「これは大事だ!」と実感した4つの学びをお伝えします。

  • 自分が責任を持って判断する
  • その先にいるユーザの声を聞きに行く
  • 今行っている仕事を別の仕事に繋げる
  • 小さな結果を継続して残す


自分が責任を持って判断する

TSA留学の初日、岡本さんから言われた印象的な言葉があります。

「TSAでは『一人ひとりが責任を持って仕事を行うこと』を大事にしている」

ありがちな言葉に聞こえますが、この裏には「判断を人任せにせず、自分で判断してほしい」という意味があります。留学だから、新人だから、頼まれた仕事だから。無意識にでもそう思っていると、何にでも「これってどうしたらいいですか?」と聞かなければ進めなかったり、意見を求められても答えられなかったり、判断を他人に任せてしまいます。判断材料を求めに行くことはあっても、判断はあくまで自分。そういった意識で仕事をすることが「責任を持つこと」なのだと思います。

TSAでの3つのミッションも、初めはどれも「頼まれた仕事」でした。

しかし「自分が責任を持って判断するんだ」と意識していると、自然と必要な判断材料を集めたり、最善の方法を考えたりするようになります。気付けば、頼んでくれた相手よりもその仕事の詳細や経緯について詳しくなっていて、「この仕事は自分の仕事。自分が一番知っていて、考えている!」と思えるようになりました。

もちろん、実際には経験のある上長の方が広く視野を持っているので、判断が修正されること多くあります。しかし普通は、上長は忙しいです。上長が時間をかけて調べたり検討したりできない分を、頼まれた自分が行うべきです。

この仕事は自分の仕事であり、それに対する判断も自分が率先して行い、提案していく。むしろ「自分が言わなければ誰が言うんだ」という気持ちを持つことによって、仕事もどんどん面白くなり、自分の意見をはっきりと出せるようになりました。

 

その先にいるユーザの声を聞きに行く

それでも、初めは「自分が責任を持って判断する」ことに戸惑いました。自分で判断しなければならないけれど、何をどうすべきかの判断材料が私の中になく、判断できない。何からやればいいか分からない。

その状態を突破する機会になったのが、iTutor布教活動で行ったヒアリングです。iTutor布教活動というミッションは、社内での利用状況やニーズを把握できておらず「誰をターゲットにどんな施策をとるべきか」が分からない状態からのスタートでした。こういった状態のとき、ヒアリングで生の声を集めることが非常に有用だと思います。ヒアリングを重ねる毎にニーズや問題点が明らかになり、どうすべきかが明らかになっていく感覚がありました。

どんな仕事でも、その先には何かしらユーザとなる人がいます。TSAにおけるユーザは、ガイアックス社員の皆さんです。何をどうすべきか分からないとき、仕事の先にいるユーザの声に直接聞いてみることが、方向性を決める一つの糸口になるという実感を得ることができました。

さらに良かったと思ったのは、社内でヒアリングをすると「こういう人にもヒアリングしてみたら!」という声をどんどんいただけるようになったこと。チャンスが向こうから来てくれるようになりました。これはガイアックス社員の”独協的なカルチャー”故のことかもしれません。

 

今行っている仕事を別の仕事に繋げる

TSA留学中は3つのミッションを並行して進めていたのですが、今行っていた仕事が別の仕事に繋がる、ということが頻繁にありました。例えば、同期に「TSA What’s New?でGoogle Apps Scriptを使っている」と言ったら「教えてほしい」と言われたり、社内リリースしたときに「これどうやって作ったんですか?作成を依頼したいのですが」といった声が届いたり。

これらは、ある仕事から別の仕事が生まれる、というケースです。自分が行ったことや学んだことは、思わぬところで誰かの役に立つことがあります。そういう意味で、自分の成果はどんどん外に出していくべきだと思いました。

また、ある仕事が別の仕事に活かせたというケースもあります。全く初めての仕事に思えても、抽象化してみると他の仕事と似た部分があり、それに気付いたことで同じ考えや手法を使うことができました。AkerunもTSA What’s New?もiTutorも「いかにして社内の人に使ってもらうか」という観点では、考え方は一緒です。視野を狭くせず、ある仕事で学んだことを抽象化することで、他の仕事に活かせる部分が見つかる、という良い学びになりました。

 

小さな結果を継続して残す

実はTSAでの業務とは別に、冒頭で話したような自分の「苦手意識」を克服するために、継続して行っていたことがあります。

  • 日報
    • 毎日その日にあったこと、感じたことを書いて共有する
  • 要約トレーニング
    • 毎日夜までにWeb上の記事を要約し、それに対する自分の意見を考える
    • 翌日朝に肥後さんとのレビューで発表する
  • KPT (Keep / Problem / Try)
    • 毎日夜にその日の行動からKPTで振り返る
    • 翌日朝に肥後さんとのレビューで発表する
  • タスクブレイクダウン
    • 毎日のタスクを付箋に書き出し、取り組める大きさのタスクに分割する
    • 翌日朝に肥後さんのレビューでチェックしてもらう

 

これらを毎日、朝のレビューを起点として取り組んでいました。どんな小さなことであっても、毎日同じことを続けたことで得られたものは、大きかったと思います。例えば、毎日タスクブレイクダウンを続けることによって、自分が一日で終えられる大体のタスク量が分かったり。日々の負担になりやすい日報にかける時間を計測することによって、かかる時間を予測できたり、コントロールできたり。

結果を積み上げ、残していくことで、具体的で現実的な目標をとても立てやすくなりました。目標によって、できた・できていないという結果がはっきりと明確になります。これは、日々の改善を回すのにとても効果があるなと思いました。

 

最後に

一ヶ月のTSA留学を通して、私はいくつかの「苦手意識」を乗り越えられたと思っています。

  • 自信を持って、はっきりと発言できるようになった
  • 自分で仕事のゴールを考えられるようになった
  • 自分なりの提案ができるようになった
  • 振り返りと改善を継続的に行えるようになった
  • 自分自身の改善すべき問題に、ある程度対処できるようになった

もちろん、たった一ヶ月で私自身が劇的に変わった訳ではないと思います。仕事の内容や状況によって、また私の「ダメだったところ」が出てくるかもしれません。

しかし、この期間で学んだことは、深い根っこの部分の「自信」を支えてくれると思っています。それは、私の課題にマッチした環境を与えてもらったからだと思っていますし、TSAでも私の課題を知った上で仕事の振り方を考えてくれたからだと思っています。その人に適切な場、仕事、知識をその事業部内で提供できたら一番良いけれど、きっとそうはいかないこともあります。逆に、その事業に必要な知識や技術を、誰も持っていないということもあります。

そんなときに、社内留学という選択肢が出てくるのは、とても面白いんじゃないでしょうか。社内留学は上手くマッチすれば、二つの事業部のどちらにも新しい知見や学び、成長をもたらす取り組みであると思います。私自身も、TSAで得た学びをWI事業部で存分に活かしたい。そして、私がTSAで行った取り組みはTSAで存分に活かしてもらいたいと思います。

最後に、社内留学という貴重な機会を与えてくださり、多忙の中で毎朝、丁寧なフィードバックを返してくれた肥後さん。それから、仕事で大切なことをたくさん教えてくださり、肝心なところでは必ずフォローをしてくれた岡本さん、温かく見守ってくださったTSAのメンバーの皆さん。本当にありがとうございました!


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